めっきり秋も深まり 「灯火親しむ頃」 には暖房が必要になりましたね。
レトロな絵のムードで晩秋を感じてもらいましょう。
燈火親しむ候・・・という季節の挨拶は「涼しく夜も長くなって、灯りのもとで読書などによい季節だ・・」という意味ですが。
この絵のお姉さんは双六の盤面に肩肘をついて、灯りのもとで読書ならぬ・・恋文でしょうか~?
その手元を照らす灯りの上にはネズミくんがいます・・・ぎょッ!っとネズミ嫌いの人には驚かれそうですが・・?
実はこの置物は「ねずみ短檠(たんけい)」というれっきとした灯火器です。
短檠(たんけい)とは本来、丈の低い灯架という意味で、切灯台の一つで植物油を用いた古い灯火器です。
茶席によく使われたようで、四角の台座の上に支柱を立てその上に油皿を載せて使います。
そんなお洒落な灯火器にねずみ短檠という珍種があります。
上に載ったねずみの中が油槽(油タンク)になっていて空気圧でねずみの口から油が滴下され、自動的に給油されるという優れものです。
油を狙ったねずみの姿態をデザインしたものでしょうが、暗がりで見ると・・・やはりキモいでしょうか?
遊び心あふれる文人趣味と言われてますが・・・珍種ゆえに灯火器フアンには人気抜群です。
そう思うと・・・可愛いでしょう?えッ?
しかし、古くから知られているものですが実物は殆ど残っていません。
人気ゆえに復元に挑戦している人はいるようで、ネットで「ねずみたんけい」と検索すると結構出てきます。
しかし、古い資料となると少なく、この図版も新発見と言えるものかも知れません。
ちなみにこれは新潟日報の前身
、「新潟新聞」明治33年(1900年)1月5日号の付録で当時の新聞の新年号の附録です。100年以上前のB4ほどの大きさの石版画(リトグラフ)です。気の利いた附録ですね。
今週末土曜日、旧齋藤家別邸の茶会でも蝋燭を使った灯火器「ホヤ付き燭台」が夜の茶会を盛り上げてくれるでしょう。
よくわかって安全に使えば古い灯火器もおつなものです。(安全のため少し訓練が必要か?)
時には電気を消してみましょう、豆粒のような灯りでも親しむことが出来ます。
下、戦前の絵葉書の
ねずみ短檠(たんけい)の写真、戦前は国宝だったらしい。下、ねずみ短檠(たんけい)の木版画、竹内桂舟(1861~1943)筆、明治時代の挿絵竹内桂舟 (1861~1943)早くから、尾崎紅葉の硯友社の同人となり、雑誌や新聞の挿絵を描き、特に博文館の「太陽」「文芸倶楽部」「少年世界」の挿絵主任となった。「金色夜叉」の初版本の口絵等、明治時代の挿絵の旗手である。
下、絵葉書美人のかたわらに元祖「短檠(たんけい)」です白い髭のように伸びて後ろに垂れ下っているのはイグサの芯から取られた灯心です、この先を油皿の植物油に浸してあかりを点します。